（オスのカジカガエルが）水の上を雌に求め寄ってゆく、それは人間の子供が母親を見つけて甘え泣きに泣きながら駆（か）け寄って行くときと少しも変ったことはない。「ギョ・ギョ・ギョ・ギョ」と鳴きながら泳いで行くのである。

ふりこめる灰色の街道の遠くから豆粒のような行列がこちらに向ってくる

牛と云う文字が、急に眼の中に寄って来て、犇（ひしめ）くと云う文字に見えて来る。

飛びつかんばかりに弟は駆け寄り

（忍び寄る）音も立てずに忍び寄ってくる。気づいたときにはすぐ背後に立っている。

獲物を追う漁師のように一目散に後を追う

二人は幼稚園の子供のように 足並をそろえて街の片隅を歩いていた。

背中をまるくして、ぽんぽん飛ぶように追いかける犬

遠くにオモチャのような自動車

このごろ仕事は影みたいにいつでも彼にくっついてきている。