鶏がらみたいな体

細い肋骨に張り付いた皮膚は、紙のように強張っている。

（痩せた老人）もともと 瘦 せていたが、晩年は脂気も水気もなくなって、へし折ればペキンと音がしそうであった。廊下ですれちがうと、形も匂いも父は一本の 煙管きせる であった。

骨ばったマネキン人形のような

血管の浮くような細い腕や足はすらりと長く、全身がきゅっと小さく、彼女はまるで神様が美しくこしらえた人形のような端整な外見をしていた。

先細りの未来

入り口近くのベッドの上に座っていた老人が答える。しわだらけの顔、ぽちっとした黒目がちの目、禿げあがった額の具合、背をまるめてちょこんと座っている風情。どこをとってもオランウータンにそっくりだ。いまにもグルーミングを始めそうな、どことなく可愛い感じのする爺さんだ。

（老いた象）今にも心臓発作を起して死んでしまいそうなよぼよぼの象

顔が梅干しそっくりな、梅干ばあさん

(2年ぶりに認知症の父を訪ね、窓際に座る小さくなった父を見て)離れたところから見ると、人間というよりは、ネズミやリスの類に近い生き物のように見えた。あまり清潔とは言えないが、それなりにしたたかな知恵を具えた生き物だ。《…略…》父親だった。あるいは父親の残骸とでも言うべきものだった。二年の歳月が彼の身体から多くのものを持ち去っていた。まるで収税吏（しゅうぜいり）が、貧しい家から情け容赦もなく家財道具を奪っていくみたいに。《…略…》今目の前にいるのは、ただの抜け殻に過ぎない。温かみを残らず奪われてしまった空き屋に過ぎない。

胸は、肋骨（ろっこつ）が一つ一つムキ出しに出ていた。

淳と同じ十三歳だが、ふたまわりほども小さい。だから両手に下げたビニール袋がやけに大きく、そして重そうに目に映った。

美しくあでやかな女のような体つきの男

どこもかしこも丸くたるんだその体もあまい匂いがして好きだった。

肋骨が一つ一つハッキリ段々になっている、腰の骨が飛とびだし、お尻の肉が握り拳ぐらいに小さく、膝の骨だけとびだして股の肉がそがれたように細くすぼまり脛（すね）は全く膨らみというものを失われてガサガサした棒になっている。

二言目には「死にたい」と漏らす祖父

言葉を交わすこともなく別れた。 　しばらくして振り返ってみると、宮本さんのお母さんがとにかく静かに、静かに、同じ速度で夜の中を歩いて行くのが見えた。私とすれちがったことなどわかっていないような静けさだった。

葉っぱが全部落ちた枯れ木のような老人

還暦過ぎの、人生も後半戦

女は年を取ると、どうして邪ケンになるものだろう。