芝居の仕事も、脚本の段階までは頭脳の労働であるが、稽古がはじまれば、まるで、工事現場の監督のようなものである。

（詩人）詩人は共喰いの共産党だ。持ってるものは平等につかう。借金もそれ相当なもの。手近な目的はただ食べる事に追われるばっかり。人命終熄（しゅうそく）の一歩手前でうろうろしているばかりなり。天才は一人もいない。自分だけが天才と思っているからよ。それ故、私たちはダダイスト。只何となく感じやすく、激しやすく、信念を口にしやすい。何もないくせに、まずここんところから出発してゆくより仕方がない。

（舞台作家）テレビに受け入れられなかった。だけど、芸術家としてのプライドを保つために芝居をやっている。

文筆業

人間の悩みを原料として、いつかそれを見事に再生産なさる

モルタルの 塀 で肩を擦るほど端を歩いた。失職している人間は道のまん中を歩いてはいけないと思っている

老僧の、枯れ木のように無抵抗な姿

船員は右手を延べて居留地の鼻を指さした。がっしりした肩をゆすって、勢いよく水平に延ばしたその腕からは、強くはげしく海上に生きる男の力がほとばしった。

巡査なぞは自分達が金を出して番人に雇っておくのだ

小さいスナックでは、ママも店の子も客たちとの友だちづき合いを強調している。客は、いかにも物わかりのいい常連らしくふるまっている。