じっと耳を澄ましているとほんのわずかの風の切れめから女の声らしきものがちらりと聞こえたような気がしたが、それもあるいは僕の錯覚かもしれなかった。
村上春樹 / ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 ページ位置:42% 作品を確認(amazon)
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よく聞こえない・不明瞭な音
風の音
強風・暴風
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......ていた。「もしもし」と僕は言ってみたが、僕の声は圧倒的な歴史の怒濤の中に空しく吸いこまれていった。「もしもし」 と僕は大声でどなってみたが、結果は同じだった。 じっと耳を澄ましているとほんのわずかの風の切れめから女の声らしきものがちらりと聞こえたような気がしたが、それもあるいは僕の錯覚かもしれなかった。とにかく風の勢いが激しすぎるのだ。そしてたぶんバッファローの数が減りすぎたのだ。 僕はしばらく何も言わずに受話器にじっと耳をあてていた。耳が受話器にはりついてと......
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よく聞こえない・不明瞭な音の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
彼が看護婦と何事か話している声が聞こえた。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
私の名を呼ぶ彼女の声がした。少しくぐもった不思議な響きだった。ちょうど天国の雲の上から、下界にいる私に呼びかけたような感じだった。
吉本 ばなな / らせん「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
くぐもったような鼻をつまんだような、変な声
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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風の音の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
締め出しを食った犬みたいに鼻を鳴らしている風
ジュール・ルナール / にんじん amazon
耳元でぐるぐる 捩れながら吹きすぎていく風の音
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
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強風・暴風の表現・描写・類語(風のカテゴリ)の一覧 ランダム5
林芙美子 / 新版 放浪記
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「音の響き」カテゴリからランダム5
ぺたぺたと足音をたてる。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
雷鳴は続いていた。しかし稲妻は見えない。遠い砲声のような音が轟いているだけだ。戦場はまだ彼方にある。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
「風」カテゴリからランダム5
歩くたびに舞い立った埃が、流れもせずにそのまま元の地面におちつくほど、風がない
山本 周五郎 / やぶからし amazon
「声・口調」カテゴリからランダム5
お祖母さんが変な顔をして、「勝子が」と言ったのだが、そして一生懸命に言おうとしているのだが、そのあとが言えない。 「お祖母さん。勝子が何とした!」 「……」手の先だけが激しくそれを言っている。
梶井基次郎 / 城のある町にて
彼は墻壁 の欠所 に吶喊 して来た。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
耳をすませてみる。しかしどんなに聴いても、単語がひとつも拾えない。分かるのは日本語だということだけだ。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
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