（バイト先だったベリーズの思い出がよく頭によぎる）感傷的になるのは、暇だからだ。 　精神的に 弛緩 していると、思い出が亡霊となって満ちてくる。ここちよいが、すぐに飽きる。早くすませたくて強烈な再現の強い光の中に一瞬意識を飛び込ませてはすぐに帰ってくるのだが、このところベリーズの事はまだいつでもぼんやりと私のまわりを取り巻いているような気がした。

純粋で傷つきやすい自我

私のガラスのような感傷は、もろくこわれやすい。

針のように鋭い神経

明るい性格のその奥に、柔らかく傷つきやすい感受性が潜んでるため、直観も秀でている。

着慣れたシャツのボタンでも留めるように推薦をもらい、現役で第一志望のＲ大学に合格した。

演技の匂いのない、いつもどおりのこと

一人きりなのに、不思議と怖くなかった。自分はどこか小さなひずみに紛れ込んでいるのだ、とわたしは思った。

ドアみたいに頑丈

船員は小さな荷物でも扱うように、若者の胴のあたりを右わきにかいこんで、やすやすと舷梯（げんてい）を降りて行った。