何の感動もなく、昼間から敷き放しの布団に二人は寄りそって、こおろぎの交尾のような、はかない習慣に落ちてしまうのである。

男と女が様々に絡み合う淫靡な写真

彼女は天吾の中にある一週間ぶんの性欲を、いつもどおり手際よく引き出し、てきぱきと処理していった。そして彼女自身もそこから十分な満足を味わった。帳簿の数字の複雑な操作に深い喜びを見いだす有能な税理士のように。

（女性がはいていた下着）まるで絨毯にできた小さな焦げ跡か染みのように、小さく丸められて遠くにある

わたしと野呂は再び交合した。野呂のリズムは、まるで月の満ち欠けのようになってわたしを充たした。

親子ほど年が離れたカップル

ホテルで逢ってホテルで別れる愛人同士。

私はそのとき彼に、一夜を共にした人に抱くような気持ちしか持っていなかった。 　髪の 匂いや、手のひらの感触を 慈しむ程度、それ以上でも以下でもなかった。

時々訪れる偶発的なセックス

（愛のないセックス）彼が彼女の膚に触れているとき、そこにはなんの感動もなく、いつもある白（しら）じらしい気持が消えなかった。生理的な終結はあっても、空想の満足がなかった。

乳首をそっとつまむと、身体の中に電流のようなものが走る。

接吻

敏感な先端部分を刺激すると、快感が肛門のあたりから頭部までを貫く一本の筋となった。

（恋人と付き合い始めたが期待外れにときめかない）邦彦との関係に対して、浮き立つものを感じられなくなっていた。　期待に胸を膨らませて観に行った映画が、タイトルが映し出された時こそ感動が押し寄せてきたものの、上映時間が進むにつれ、「あれ？」と退屈を覚えずにいられなくなり、「いや、これから面白くなるはずだ」「だって、いい監督だもの」と自分に言い聞かせ、挽回を期待し、けれどそれでも気に入らない点ばかりが増していくような感覚だ。

前日にビーチで焼いた肌が、乾いたシーツの上でこすれて、かすかにそこかしこが痛む。だが、その痛みすらもしみ入るように肉体の奥深く、快楽の渦の中に溶けていって、