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風の生み出す音の高い不思議な沈黙がまた天と地とにみなぎり満ちる。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:31% 作品を確認(青空文庫)
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風の音
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......の閉じ目をめがけて突きぬけて行く。  漁夫たちの群れから少し離れて、一団になったお内儀かみさんたちの背中から赤子の激しい泣き声が起こる。しばらくしてそれがしずまると、風の生み出す音の高い不思議な沈黙がまた天と地とにみなぎり満ちる。  やや二時間もたったと思うころ、あや目も知れないやみの中から、硫黄いおうたけの山頂――右肩をそびやかして、左をなで肩にした――が雲の産んだ鬼子のように、空中に現われ出......
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