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金魚のひれだけが嬌艶きょうえんな黒斑を振り乱して宙に舞った
岡本かの子 / 金魚撩乱 ページ位置:43% 作品を確認(青空文庫)
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金魚
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......絞り縮めて来た。  復一は半醒半睡はんせいはんすい朦朧もうろう状態で、仰向けに寝ていた。朦朧とした写真の乾板かんぱん色の意識の板面に、真佐子の白い顔が大きく煙る眼だけをつけてぽっかり現れたり、金魚のひれだけが嬌艶きょうえんな黒斑を振り乱して宙に舞ったり、秀江の肉体の一部が嗜味しみをそそる食品のように、なまなましく見えたりした。これ等はたがい違いに執拗しつこ明滅めいめつを繰り返すが、その間にいくつもの意味にならない物の形や、不......
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