指は垂下った両手の先で、頭を擡 げる十疋 の蚕 のように動き出す
横光利一 / 日輪 ページ位置:57% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
指の雰囲気・状態
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......の端を手にとった。悦 びに声を潜 めた彼の顔は、髯 の中で彼女の衣の射る絹の光を受けて薄紅に栄 えていた。部屋の中で訶和郎の死体が反絵の腕を辷 って倒れる音がした。反絵の指は垂下った両手の先で、頭を擡 げる十疋 の蚕 のように動き出すと、彼の身体は胸毛に荒々しい呼吸を示しながら次第に卑弥呼の方へ傾いていった。 反耶は衣を結んだ両手を後から卑弥呼の肩へ廻そうとした。と、彼女は急に妖艶な微笑を両 ......
単語の意味
擡げる(もたげる)
頭を擡げる(あたまをもたげる)
蚕(かいこ)
擡げる・・・起こす。持ち上げる。
頭を擡げる・・・目立ち始める。勢いづく。
蚕・・・カイコガの幼虫。普通、4回脱皮した後、白くて俵型の繭(まゆ)を作る。繭は絹糸の原料になるため、古くから養蚕(ようさん[=蚕を飼うこと])されてきた。野生では生活できず「飼い子」が名前の由来とされる。
ここに意味を表示
指の雰囲気・状態の表現・描写・類語(手・指・爪のカテゴリ)の一覧 ランダム5
彼の毛の生えた太い指が 芋虫 のように動いていく。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「手・指・爪」カテゴリからランダム5
括(くく)り猿のような拳
前田河広一郎 / 三等船室「現代日本文学大系 (59)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
手・指・爪 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ