五分ほど黙った。二人には思い思いのことが浮んだ。
志賀 直哉 / 山科の記憶「城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)」に収録 ページ位置:41% 作品を確認(amazon)
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黙る・沈黙
上の空・心ここにあらず
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前後の文章を含んだ引用
......れは到底不可能なことと知れた。女に対する自分の気持を累々と述べ立てることも不可能だった。そして妻のヒステリーが亢じると彼にはもう言うことはなかった。 二 五分ほど黙った。二人には思い思いのことが浮んだ。彼には女のことが時々頭を通り過ぎて行った。「去年病院にいた時にも、もし先生が好きになったら大変だ、そう考える方なのよ。本統に貴方だけ想って満足しているのに……」......
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黙る・沈黙の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
目を伏せて返事をしなかった。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
房子は黙っていたが、その姿は、いろんな風に泡立って来る感情を小さなコルクの栓で蓋をしている罎(びん)みたいだった。
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
希美子はヒューズが飛んでしまったかのようにうつむき、黙り込んだ。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 amazon
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上の空・心ここにあらずの表現・描写・類語(その他の気分のカテゴリ)の一覧 ランダム5
何をするにも心にもない作り事をしているようだった。
有島武郎 / 或る女
彼は彼女と並んで歩きながら、彼女の心が、全く彼の方向にはなく、どこか彼女の体の内の深いところにずり落ちているのを感じていた。
野間 宏 / 顔の中の赤い月「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
君は漁夫たちとひざをならべて、同じ握り飯を口に運びながら、心だけはまるで異邦人のように隔たってこんなことを思い出す。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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「声・口調」カテゴリからランダム5
父親は、甲高い息子の叫びを、一々胸に釘を打たれるように、聴いてい
た。
獅子 文六 / 胡椒息子 (1953年) amazon
いつまでもこの空間に、一度きりの生の音のなかで泳いでいたい。 誰もがそう思う。そういう天才の歌だ。 白くて、粒子が細かくて、甘くて、光り輝いていて涼しい風のような、そういうものでできた歌声だ。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
君は相変らず舌が達者だ。蝉のようによくしゃべる
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
「その他の気分」カテゴリからランダム5
靴の底と地面との間にどうしても生じてしまう何センチかの空白を踏んで、ふわふわと歩く。水島の手が肩に置かれていなければ、このまま舞い上がってしまいそうだ。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
声低く濃霧のかなたでせせら笑われているように朦朧とする
開高 健 / 地球はグラスのふちを回る amazon
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