雪の鳴るような静けさ

粉のように乾いた雪

雪にさからって歩いている。

白いすだれが幾重にも垂れ下がって視界を鎖（とざ）す

降り落ちた雪もまた吹き上げられて、白い布のように飛ぶ。

ひっそりとした農家の軒先に、雪消のしずくが間断なく落ちている

滲み出るように雪の粉が次から次へと下界へ急いでいた。

風は、割合に粒の大きい軽（かろ）やかな初冬の雪片をあおり立てあおり立て横ざまに舞い飛ばした。雪片は暮れ残った光の迷子（まいご）のように、ちかちかした印象を見る人の目に与えながら、いたずら者らしくさんざん飛び回った元気にも似ず、降りたまった積雪の上に落ちるや否や、寒い薄紫の死を死んでしまう。ただ窓に来てあたる雪片だけがさらさらさらさらとささやかに音を立てるばかりで、他のすべてのやつらは残らず唖（おし）だ。快活らしい白い唖の群れの舞踏――それは見る人を涙ぐませる。

羽毛のような軽やかな雪が舞い降りる

黄色な光が快よく鮮やかに満ちている晩秋の水のような淡い霜