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(映画「となりのトトロ」が持つ)まるで強力なパンチみたいななつかしさに打ちのめされて、私は目の前が暗くなりそうだった。 もちろん、そう思っていたのは私だけだった。《…略…》だから私はその時、同じ場所で同じ映画を観て語り合っているのに、自分だけが徐々にシュールな異空間に分離してゆくような、おかしな感じを味わっていた。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:5% 作品を確認(amazon)
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......やの中で怪談話をして寄りそって眠ったこと、真由の細くて茶色い髪の、赤ん坊みたいな匂い……そういうことを決して具体的に思い描いたりはしなかった。でも、それらが持つまるで強力なパンチみたいななつかしさに打ちのめされて、私は目の前が暗くなりそうだった。 もちろん、そう思っていたのは私だけだった。 弟は夢中になって口もきかずに画面を見つめていたし、幹子はレポートをやりながら横目で見ているような感じだった。そして時々普通に明るく話しかけてきたりした。「ねえ朔ちゃん、糸井重里のお父さん、吹きかえが下手くそだよね。」「そうねえ。でも合ってるんじゃないの?」「そう、これが味ってもんだよ。」 弟が言ったりした。 だから私はその時、同じ場所で同じ映画を観て語り合っているのに、自分だけが徐々にシュールな異空間に分離してゆくような、おかしな感じを味わっていた。 そしてそれがふさぎこみよりもむしろ、明るい凝視の感じに留まっていたのはきっと、私がひとりで観ていたのではなくて、家族と一緒だったからだと思う。映画が終わって、......
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懐かしい・懐かしく思うの表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
長く留守にしていた故郷にようやく戻ってきたような奇妙な懐かしさ
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
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よくできた映画というのは残響の尾を長々と引くもの
池澤 夏樹 / シネ・シティー鳥瞰図 amazon
テレビの連続ドラマを何回分かまとめて見たようなだるい印象を残す映画
池澤 夏樹 / シネ・シティー鳥瞰図 amazon
悪くない映画だったが途中で何度も考え事をしたので映画の筋がずたずたに分断されてしまった。《…略…》映画のエンドマークが出ると、僕は殆んど筋のわからないまま席を立って外に出た。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
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娘の顔は、さしかける古い森林の深いどす青い陰を弾ね返すほど生気に充 ちていた。
岡本かの子 / 河明り
巨大なホールでやったかのような拍手と 喝采 が彼女を包んだ。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
ひたむきに狂暴な欲念が胸の中でははち切れそうに煮えくり返っていた。
有島武郎 / 或る女
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実話には骨があるが、詩には肉しかない。
高田 保 / 我輩も猫である amazon
客席に人が座りはじめる。それぞれが秋の匂いを劇場に運んでくる。歓談の隙間から静かに音楽が聴こえている。人が増えざわめきは徐々に増していく。音楽も音量を上げていき、客席の照明が緩やかに絞られる。まもなく幕が開く。
又吉直樹「劇場(新潮文庫)」に収録 amazon
先ごろ見た映画〔愛の狩人〕は、アメリカ映画の新しいエネルギーが生み出した一種の快作というべきであった。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
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