僕は絶句してしまい、橋本さんも黙った。しばらく沈黙がつづく。やがて僕たちの沈黙は夜の闇の静けさに包み込まれ、それをさらに大きく包み込むように、星空が、ある。
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 ページ位置:26% 作品を確認(amazon)
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黙る・沈黙
静けさ・静寂
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前後の文章を含んだ引用
......傾げて、また笑った。「私なら、なにも知らないことのほうが悔しいですけどね」「知らないほうが、ましだ」「被害者づらができるからですか?」──ぴしゃりと言われた。 僕は絶句してしまい、橋本さんも黙った。しばらく沈黙がつづく。やがて僕たちの沈黙は夜の闇の静けさに包み込まれ、それをさらに大きく包み込むように、星空が、ある。「行きましょう。あと少しです」 橋本さんは体を半分だけ前に向けて、「私たちの家族が終わった場所を見てやってください」と言った。 僕は黙って歩きだす。ふわっとした......
単語の意味
星空(ほしぞら)
暫く・姑く・須臾(しばらく)
星空・・・晴れた夜、星がたくさん輝いている空。
暫く・姑く・須臾・・・1.長いと感じるほどではないが、すぐともいえないほどの時間。ちょっとの間。一時的。
2.ちょっと待った!
2.ちょっと待った!
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黙る・沈黙の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
ふかえりはただ沈黙をまもっていた。その沈黙は細かい粉のように、空中にひそやかに浮かび漂っていた。それは特殊な空間から現れた蛾の群れが、ついさっきまきちらしていった粉だ。その粉が空中に描くかたちを天吾はしばらくのあいだ眺めていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
彼が黙ってしまうと、静けさが二人の間に舞い降りてきた。わたしは窓ガラスのしずくを、一粒一粒数えていった。それは次から次へと休みなくこぼれ落ちてきた。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
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静けさ・静寂の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
ロビーが一瞬、冷蔵庫と化して、そこにいる人たちを沈黙させる
島田 雅彦 / 未確認尾行物体 amazon
物音もなく、ひっ込むような静寂がじめじめと周りの世界に澱んでいた。
石坂洋次郎 / 若い人 amazon
髪の毛が落ちる音さえ聞こえそうなほどシンとする
内館 牧子 / あしたがあるから amazon
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「音の響き」カテゴリからランダム5
店内は音ひとつないほど静か
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
金属的な冷たい残響を耳の奥底に曳(ひ)く
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
遠い日のおしゃべりの記憶のように、今夜も雨の音がずっとひそやかに鳴っている。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
「声・口調」カテゴリからランダム5
「いいか、よく聞いておけよ」まるでその一言でこの世のすべての法則を証明できるとでも言うような自信満々の声だった。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
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