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ちょうど人の肖像をかこうとする画家が、その人の耳目鼻口をそれぞれ綿密に観察するように、君は山の一つの皺 一つの襞 にも君だけが理解すると思える意味を見いだそうと努めた。実際君の目には山のすべての面は、そのまますべての表情だった。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:82% 作品を確認(青空文庫)
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......かれた手帖と山とをかたみがわりに見やりながら、君は丹念に鉛筆を削り上げた。そして粗末な画学紙の上には、たくましく荒くれた君の手に似合わない繊細な線が描かれ始めた。 ちょうど人の肖像をかこうとする画家が、その人の耳目鼻口をそれぞれ綿密に観察するように、君は山の一つの皺 一つの襞 にも君だけが理解すると思える意味を見いだそうと努めた。実際君の目には山のすべての面は、そのまますべての表情だった。日光と雲との明暗 にいろどられた雪の重なりには、熱愛をもって見きわめようと努める人々にのみ説き明かされる貴 いなぞが潜めてあった。君は一つのなぞを解き得たと思うごと......
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絵を描くの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
パレットナイフで牡蠣のように固くなった絵の具をバリバリとパレットの上で引掻きながら
林 芙美子 / 清貧の書 amazon
写生をすると今まで気のつかなかった物の形や、色の精細な変化などがよく分る
夏目漱石 / 吾輩は猫である
(石の絵に色を塗る)あまり明るい色調では石の重量感が描ききれない。
阿刀田 高 / 狂暴なライオン「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
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(男は、)部屋の中を冷静に観察していた。彼は爆撃機の機関銃手のような、静かな一対の目を持っていた。孤独で、青い空を見続けるのになれている。目が空の色に染まっている。《…略…》どこまでも注意深い。敵の戦闘機の小さな機影を雲間に求めている。それは最初は芥子粒のようにしか見えない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
巨大な地震か、すさまじい洪水に襲われた遠い地域の、悲惨な有様を伝えるテレビのニュース画像から目を離せなくなってしまった人のように(凝視する)
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
タオルの下の死人の顔を見透そうとするかのようにじっと眺めた。
野間宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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砂をかぶった海底のひらめみたいに、とても上手に隠れて
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
ただくすくす笑っていた。何がそんなにおかしいのか天吾にはわからなかった。誰かがどこかで「笑い」という札を出しているのかもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
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