踊り食いはピチピチ跳ねて掴みづらい。口の中ではじけるような感じは、胸をドキドキさせてくれる。
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白魚
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胸(むね)
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二月初めの白魚には一緒に新海苔がくっ付いてくるが、これが何とも香りがよくていい風情
宮尾登美子 / 菊亭八百善の人びと amazon
舟に辛口の熱燗をつめた魔法瓶と辛子酢味噌のどんぶり鉢をのせて湖に繰りだし、少し膚寒い朝風のなかで、網からあげたてのピチピチ跳ねる白魚を茶漉しでしゃくってどんぶり鉢へあける。白魚は辛子酢味噌のなかでは跳ねない。ふれたとたんに一瞬でおとなしくなってしまう。透明な「一寸」の体に黒い眼をまじまじ瞠ったまま息絶える。それをつるつるとすするのだが、コリコリした歯あたりと、ほのかなホロ苦みであるきりで、生臭さも、肉らしい味も、何もなかったと記憶している。
開高 健 / 最後の晩餐 amazon
白魚は江戸の春を象徴する小魚で、朝あげと夜あげがあり、当然、一晩おいた夜あげのものより、朝あげのほうが新しく、身が透き通っている。
宮尾登美子 / 菊亭八百善の人びと amazon
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