野原に大きなまっ赤な火が燃 され、その黒いけむりは高く桔梗 いろのつめたそうな天をも焦 がしそうでした。ルビーよりも赤くすきとおり、リチウムよりもうつくしく酔 ったようになって、その火は燃 えているのでした。
宮沢賢治 / 銀河鉄道の夜 ページ位置:77% 作品を確認(青空文庫)
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火事
火が燃える・炎
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前後の文章を含んだ引用
......川の向こう岸 がにわかに赤くなりました。 楊 の木や何かもまっ黒にすかし出され、見えない天の川の波 も、ときどきちらちら針 のように赤く光りました。まったく向 こう岸 の野原に大きなまっ赤な火が燃 され、その黒いけむりは高く桔梗 いろのつめたそうな天をも焦 がしそうでした。ルビーよりも赤くすきとおり、リチウムよりもうつくしく酔 ったようになって、その火は燃 えているのでした。 「あれはなんの火だろう。あんな赤く光る火は何を燃 やせばできるんだろう」ジョバンニが言 いました。 「蠍 の火だな」カムパネルラがまた地図と首 っぴきして答えました。......
単語の意味
桔梗(ききょう)
桔梗・・・秋の七草のひとつ。日当たりのいい山野に生え、五つに割れた青紫色の花が咲く。
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火事の表現・描写・類語(事件・事故のカテゴリ)の一覧 ランダム5
小屋が太い火束となって盛んに燃える
大岡 昇平 / 野火 amazon
高みから大きい星空の下に見下すと、おもちゃの火事のように静かだった。
川端康成 / 雪国 amazon
見る見るうちに 板葺 屋根をつたって拡がる炎や、煙を切る消防ポンプの白い水柱や硝子窓を打ち割り延焼防止につとめる防火頭巾をまとうた消防夫の姿や、横の広場に濡れた蒲団、家財を運び出す人々のあわてふためいた様子
野間 宏 / 残像「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
建物の焼け落ちる轟きと、物のはぜ飛ぶつんざくような響きが、怒涛のように揉み返す
山本 周五郎 / やぶからし amazon
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火が燃える・炎の表現・描写・類語(火・煙・灰のカテゴリ)の一覧 ランダム5
明るみの中の殊に明りの中軸になっている揺めく珊瑚の枝のような火体
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
焔は飴のように粘っこく燃え上った。
梅崎 春生 / 桜島 amazon
焔の赤い舌がべろべろと長く立つ
長塚 節 / 土 amazon
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街の火を眺めていた。その火は、今遠く地の底から地上を呼ぶ太陽のように《…略…》感じられていたのだ。
石原 慎太郎 / 行為と死 amazon
吉川英治 / 銀河まつり
木造の図書室が焼けたんだから、それはそれは物凄い火事だったらしいわね。火花の中を、無数の紙切れが赤い蝶々みたいにゆらゆら舞ってたんですって。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
あちこちに飛び火する炎を、ひとつひとつ水で塗り消していく。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
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