太陽があちらからこちらへと渡っていき、陽ざしの質感とともに海の色が変化していく

死人は、その死んだ後（のち）に於ても、その無感覚の感覚によって、時間の流れを感じているとすれば、一秒時間も、一億年も同じ長さに感じている筈である。又そう感ずるのが死後の真実の感覚でなければならぬので、すなわち一秒の中（うち）に一億年が含まれていると同時に、宇宙の寿命の長さと雖（いえど）も一秒の中（うち）に感ずる事が出来る訳である。この無限の宇宙を流れている無限の時間の正体は、そんなような極端な錯覚、すなわち無限の真実の裡（うち）に、矢の如く静止し、石の如く疾走しているものに外ならないのである。

貴重な時間が血のように流出する

瞬時の火花のかわりに、油のような時間が流れる

時間の過ぎていくのを骨身にしみて 愛しく感じる。

鏡面のように静かになっている過去

栗鼠（りす）のように敏捷（すばし）っこい記者たち

ずっと昔に死んでしまった時間の断片

宿屋きめずに草鞋（わらじ）を脱ぐ

ママの苦しみもママの顔も、もう遠くに去りつつあった。