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すべてがむせるようである。またみなぎるようである。ここで蒼穹あおぞらは高い空間ではなく、色彩と密度と重量をもって、すぐ皮膚に圧触して来る濃い液体である。叢林そうりんは大地を肉体として、そこから迸出ほうしゅつする鮮血である。くれない極まって緑礬りょくばんの輝きをひらめかしている。物の表は永劫えいごうの真昼に白みわたり、物陰は常闇世界とこやみせかい烏羽玉うばたまいろをちりばめている。土は陽炎かげろうを立たさぬまでに熟燃している。空気はあぶり、光線は刺す
岡本かの子 / 河明り ページ位置:50% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......で、いざとなると、無茶なところが出るのだが、それよりもこの得態の知れない男女関係の間に纏縛てんぱくされ、退くに退かれず、切放れも出来ず、もう少し自棄気味やけぎみになっていた。  すべてがむせるようである。またみなぎるようである。ここで蒼穹あおぞらは高い空間ではなく、色彩と密度と重量をもって、すぐ皮膚に圧触して来る濃い液体である。叢林そうりんは大地を肉体として、そこから迸出ほうしゅつする鮮血である。くれない極まって緑礬りょくばんの輝きをひらめかしている。物の表は永劫えいごうの真昼に白みわたり、物陰は常闇世界とこやみせかい烏羽玉うばたまいろをちりばめている。土は陽炎かげろうを立たさぬまでに熟燃している。空気はあぶり、光線は刺す――――――  私と娘は、いま新嘉坡シンガポールのラフルス・ホテルの食堂で昼食をり、すぐ床続きのヴェランダの籐椅子とういすから眺め渡すのであった。  芝生の花壇で尾籠びろうなほどなまの色の赤......
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光線(こうせん)
焙る・炙る(あぶる)
陽炎(かげろう・ようえん)
蒼穹(そうきゅう)
肉体(にくたい)
土(つち)
常闇(とこやみ)
永劫(えいごう・ようごう・ようこう)
光線・・・光のすじ。光の線。差してくる光。
焙る・炙る・・・炎が触れるか触れないか程度にものを近づけて、暖めたり、乾かしたりする。満遍なく熱が加わるように火を当てる。
陽炎・・・春や夏の穏やかな日に、透明の炎のような揺らめきが地面からユラユラと立ちのぼる現象。局所的に密度の違う空気が混じることで、光が異常屈折して起こる。
蒼穹・・・青空。大空。蒼天。「穹」は、「そら」とも読める。
肉体・・・肉から構成されている体。生きている人間の体。生身の体。
・・・岩石と有機物が混じって細かい粉末状になったもの。有機物は、生物の死骸およびその腐敗物、微生物などから構成されている。砂(有機物が含まれない)とは違い、植物が育ちやすい。
常闇・・・1.常(つね)に闇であること。永遠に真っ暗なこと。
2.1が転じて、乱れて常に治まらないことのたとえ。
永劫・・・非常に長い年月。「劫(こう・ごう)」は仏教における時間の最長単位で「きわめて長い時間」のこと。
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