老人は黙って立った。脊が高くちょうど風雨にさらされた山の枯木のような感じがした。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:80% 作品を確認(amazon)
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老人
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......、それからサイダーを貰おうか」「お爺さん。お爺さん」婆さんは立って濡れ手を前へ下げたまま老人を呼んだ。「私は手が臭いからお客様に菓子とサイダーを上げて下さい」 老人は黙って立った。脊が高くちょうど風雨にさらされた山の枯木のような感じがした。「菓子と何だね?」「お爺さん、サイダーは俺が持って来る。菓子だけ出しておくれ」車夫はそういい、自身流しの方へそれを取りに行った。「こっちの方が冷えているのかね」......
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博士は六十四歳の、数論専門の元大学教師だった。見た目は実際の年齢よりもやつれていた。単に老けているだけではなく、身体の隅々にまできちんと養分が行き渡っていない印象を与えた。ひどい猫背のために一六〇センチほどしかない身長はますます小さく見え、骨張った首筋には皺の間に垢がたまり、ぱさついて好き勝手な方向に跳ねる白髪が、せっかくの福耳を半分覆い隠していた。声は弱々しく、仕草はスローモーで、何をするにもこちらの予想の二倍の時間が掛かった。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
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