白痴の子がだらしなく泣き続ける声と、叔父 が叔母を呼び立てる声とが、すがすがしい朝の空気を濁すように聞こえて来た。
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:18% 作品を確認(青空文庫)
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遠くの音
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前後の文章を含んだ引用
......と勝手に好みをいった末に、りゅうとした一揃 えを借る事にして、それから葉子の衣類までをとやかくいいながら去りがてにいじくり回した。台所からは、みそ汁 の香 いがして、白痴の子がだらしなく泣き続ける声と、叔父 が叔母を呼び立てる声とが、すがすがしい朝の空気を濁すように聞こえて来た。葉子は叔母にいいかげんな返事をしながらその声に耳を傾けていた。そして早月家の最後の離散という事をしみじみと感じたのであった。電話はある銀行の重役をしている親類が......
単語の意味
清清しい・清々しい(すがすがしい)
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かすかなかすかな声が遠くの遠くから聞えました。
宮沢賢治 / ひかりの素足
遠くの遊郭のほうから、朝寝のできる人たちが寄り集まっているらしい酔狂のさざめきだけがとぎれとぎれに風に送られて伝わって来る。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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長野 まゆみ / 少年アリス amazon
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妙に濃く煮つまった静けさ
日野 啓三 / 抱擁 amazon
一面はしんとして、雨垂れほどの音もしない。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
雑多なざわめきの音が、閉じ込められた暗い校内に海鳴りのように遠く近く響いていた。
吉本 ばなな / TUGUMI(つぐみ) amazon
(彼女たちは)一斉に鳴り出すオルガンみたいだった
中山 義秀 / 醜の花「厚物咲・碑 (1949年) (春陽堂文庫〈第54〉)」に収録 amazon
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