失うものができると、はじめて怖いものもできるんだね。でも、それが幸せなんだね。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:4% 作品を確認(amazon)
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......Feedされた思い出が。」 Feed、という表現を使った。「でも、もしも彼に何かあって、ここで初めて作り上げた幸せが壊れたら、私も初めて不幸になるかもしれない。失うものができると、はじめて怖いものもできるんだね。でも、それが幸せなんだね。自分の持ち物の価値を知ること? だって私には彼みたいに、いてあたりまえのものがなくなっていったさみしさとか暗さを知らない。もともと、何もないところにいつもいたか......
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かつての女は、私の自己評価の低さの反映なのだった。
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
(交際)これまで私は誰かと親しい関係になるたび、自分が少しずつ取り替えられていくような気分を味わってきたからである。 相手の思考や、相手の趣味、相手の言動がいつのまにか自分のそれに取って代わり、もともとそういう自分であったかのように振る舞っていることに気付くたび、いつも、ぞっとした。やめようとしても、やめられなかった。おそらく、振る舞っている、というような生易しいものではなかったのだろう。 男たちは皆、土に染み込んだ養分のように、私の根を通して、深いところに入り込んできた。新しい誰かと付き合うたび、私は植え替えられ、以前の土の養分はすっかり消えた。それを証明するかのように、私は過去に付き合ってきた男たちと過ごした日々を、ほとんど思い出せないのである。また不思議なことに、私と付き合う男たちは皆、進んで私の土になりたがった。そして最後は必ず、その土のせいで根腐れを起こしかけていると感じた私が慌てて鉢を割り、根っこを無理やり引き抜いてきたのだった。 土が悪いのか、そもそも根に問題があるのか。 旦那と結婚すると決めた時、いよいよ自分がすべて取り替えられ、あとかたもなくなるのだ、ということを考えなかったわけではない。
本谷 有希子 / 異類婚姻譚 amazon
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小林多喜二 / 蟹工船
美しい姿ではあるけれども、何か影のない姿である。
林芙美子 / 新版 放浪記
主従以上に親しかった
吉川英治 / 醤油仏
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