貨物船の霧笛が、群れをはぐれた仔牛のような鋭い悲鳴を上げ始める。霧笛はそれぞれの音階に短く長く闇を貫き、山の方向へ飛ぶ。
村上 春樹 / 1973年のピンボール ページ位置:66% 作品を確認(amazon)
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汽笛
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前後の文章を含んだ引用
......。窓から入り込んでくる細かな水滴が、車の中のあらゆるものを濡らしていく。シート、フロント・グラス、ウィンドブレーカー、ポケットの煙草、何もかもだ。沖合に停泊した貨物船の霧笛が、群れをはぐれた仔牛のような鋭い悲鳴を上げ始める。霧笛はそれぞれの音階に短く長く闇を貫き、山の方向へ飛ぶ。 左側の壁には、と鼠は考えつづける。本棚と小さなオーディオ・セット、そしてレコードだ。それに洋服ダンス。ベン・シャーンの複製画が二枚。本棚にはたいした本はない。......
単語の意味
霧笛(むてき・きりぶえ)
霧笛・・・霧で視界不良の場合に、衝突事故を防ぐために、船や灯台が鳴らす汽笛。
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汽笛の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
音のあいまいな霧がひろがるように、遠い汽笛がおぼろげに伝わってくる
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
あくびでもするかのように間の抜けた汽笛をば太く鈍く響かせるばかり
永井荷風 / ふらんす物語 amazon
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「音の響き」カテゴリからランダム5
一生懸命神経を張り詰めて
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
言葉が耳に、一本一本鋭く杭を打ち込むのに似て聞こえる
有吉 佐和子 / 華岡青洲の妻 amazon
「乗り物」カテゴリからランダム5
タクシーが、吸い寄せられたように、彼の眼前に滑って来た。
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
貨物船の霧笛が、群れをはぐれた仔牛のような鋭い悲鳴を上げ始める。霧笛はそれぞれの音階に短く長く闇を貫き、山の方向へ飛ぶ。
村上 春樹 / 1973年のピンボール amazon
ざっとアスファルトをこする音で、自転車が止まる。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
トラックは激しく震動しあえぐ音を立てながら夜の道を、かなり急な傾斜をした狭い道を上がっていった
大江健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon
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