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葉はどこにも感じない微風に動揺して自分のみが怖じたように騒いでいる。

長塚節 / 土　作品を確認（amazon）

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青葉の茂りがうっとうしいまでに篭る

森の草木が青々した光を溢れさす

街路樹がかすかに幼い葉を付け始める

見渡す限り一面の新芽たちは真珠を連ねた如くきらめく

虫が葉の表面を、針の先ほどの隙もなく覆う

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みずみずしい風が吹く。それもしみったれて少しずつ吹いている。

林芙美子 / 新版　放浪記

そのとき、線香の匂いを鼻先に感じて、重藤は振り返った。　冷たく乾いた風が、《辰川家》の墓前の線香の煙を揺らしたのだった。

翔田寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録　amazon関連カテ匂いがする・におう微風・そよ風

初夏の薫風

池波正太郎「むかしの味 (新潮文庫)」に収録　amazon関連カテ夏微風・そよ風

ふわりと冷たい風が吹き、短くなった三葉の毛先をゆらし、まるで誰かの指先のように、髪が頰をそっと撫でる。

新海誠「小説君の名は。 (角川文庫)」に収録　amazon関連カテ髪の揺れ・動き風微風・そよ風

たんぽぽの綿毛を運ぶような微風

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（夜、）ねむり草が、しょうことなしに、葉の瞼（まぶた）を尖（さき）の方から合せかけて来た。

岡本かの子 / 母子叙情関連カテ夜眠り草

蔓が蛇のようにからみ

北杜夫 / 谿間にて「新潮日本文学 61 北杜夫集―楡家の人びと・他」に収録　amazon

天に向かって根っこ生やしているような枯れ木

（鉢の菊は）暝目した美女のようなあでやかさをもって、黒光りする板の間に神々しく照り輝きながらじっと身を横たえている。

中山義秀 / 厚物咲 (1948年)　amazon関連カテ室内の雰囲気花

（不忍の池の枯れ蓮）漆のような黒い水に、枯れ蓮（はす）の茎や葉が一層くろぐろと水面に伏さっているのが窺（のぞ）かれる。その起伏のさまは、伊香保の湯宿の高い裏欄干（うららんかん）から上（かみ）つ毛野（けの）、下（しも）つ毛野（けの）に蟠（わだかま）る連山の頂上を眺め渡すようだった。そのはろばろと眺め渡して行く起伏の末になると、枯蓮の枯葉は少くなり、ただ撓（たわ）み曲った茎だけが、水上の形さながらに水面に落す影もろとも、いろいろに歪（ゆが）みを見せたＯの字の姿を池に並べ重ねている。

岡本かの子 / 雛妓関連カテ池・湖・沼・水たまり冬蓮（はす）

「風」カテゴリからランダム５

薄い生地の短パンと太もものあいだを、新しい季節の予感を含んだ風がさらりと通り過ぎていく。

朝井リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録　amazon関連カテ春の風微風・そよ風風を受ける

切り裂くような風

川上からは時どき風が吹いて来た。カサコソと彼の坐っている前を、皺（しわ）になった新聞紙が押されて行った。小石に阻（はば）まれ、一しきり風に堪えていたが、ガックリ一つ転ると、また運ばれて行った。

梶井基次郎 / ある心の風景関連カテ新聞紙風に飛ばされる

木枯らしが真夜中の街路に紙屑を巻き上げる

原田康子 / 挽歌　amazon

底力のこもった鈍い空気が、音もなく重苦しく家の外壁に肩をあてがってうんともたれかかるのが、畳の上にすわっていてもなんとなく感じられた。

有島武郎 / 生まれいずる悩み

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