綿毛のような白い小さな雲

古代の神々のように、雲がいくつも海の上に泛（うか）んでいる

アンパンみたいな雲がフワフワ浮く

春の紺碧をまだらにしている白い雲

空は朗らかに晴れ、絵巻のように黄金に輝いた雲が浮かんでいた

空がまるで青びかりでツルツルしてその光はツンツンと二人の眼にしみ込みまた太陽を見ますとそれは大きな空の宝石のやうに橙（だいだい）や緑やかゞやきの粉をちらしまぶしさに眼をつむりますと今度はその蒼黒（あをぐろ）いくらやみの中に青あをと光って見えるのです、あたらしく眼をひらいては前の青ぞらに桔梗（ききゃう）いろや黄金（きん）やたくさんの太陽のかげぼふしがくらくらとゆれてかゝってゐます。

日差しを照り返す純白の車体

海の底から空を見上げると、波のゆらぎ、藻の影、緑と青の縞模様が重なって、緩やかに廻る走馬灯のよう

窓から差し込む油のような日の色

りんごの浴びた陽ざしがハンカチに吸収されて、それが内側からやさしく光っているような感じである

降り続いていた雨が、糸の切れたようにふっと止む

（庭のデッキ・チェアで目を閉じて思い出そうとする）猫の姿を頭に思い浮かべようとしたが、実際に僕が思い浮かべることができるのは、逆光を浴びた写真のようなひどく漠然とした猫の像にすぎなかった。強い太陽の光が瞼をとおり抜けて僕の暗闇を不安定に拡散させていたし、それに僕はどれだけ努力しても猫の姿を正確に思いだすことができなかったのだ。

時計が三時を打つころには殆んどの雪が溶けた。地面はしっとりと湿り、夕方近くの太陽が草原をやわらかな光で包みこんでいた。まるで解き放たれたように鳥が鳴き始めた。

油照りのかあっとした天気

夜明けとともに周辺が視野の中に薄ぼんやり浮かんでくる

玉を繋ぐ細い糸筋のような月の光

空は何もかも吸い込んでしまうような青さ

空には星が、スクリーンの斑紋のように、吹き流されていた。

ふわふわとした綿のような白い雲がほっかりと暖かい日光を浴びようとしてわずかに立ち騰ったというように

破れ靴のように捨てられた白いベンチの上に 私はまるで淫売婦のような姿態で 無数の星の冷たさを眺めている。