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痺れるような、荒涼たる感情が私の心を領していた。それは一部は私の肉体の疲れの、一部は今通って来た大きな草原の、孤独の効果らしかった。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 ページ位置:11% 作品を確認(amazon)
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疲れる・疲労感
孤独・一人ぼっち
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前後の文章を含んだ引用
......第に増えて行った。 私は疲れていた。刈り取られた玉蜀黍の切株の固い畦を渡って、そういう兵等のかたまっているところに辿りつくと、黙って腰を下し、水筒の水を飲んだ。痺れるような、荒涼たる感情が私の心を領していた。それは一部は私の肉体の疲れの、一部は今通って来た大きな草原の、孤独の効果らしかった。 原は広く、目指す病院の屋根はなかなか近くならなかった。それは波立つ萱の彼方に、手に取るように見えながら、私を取り巻く原の広さを思わせて、いつまでもちんまりと遠......
単語の意味
荒涼・荒寥(こうりょう)
痺れる(しびれる)
領する(りょうする)
草原(そうげん・くさはら)
肉体(にくたい)
襟・衿・領(えり)
痺れる・・・ビリビリとした刺激を感じる。また、感動して感覚的にビリビリと感じて、興奮したり魅了されたりする。
領する・・・自分の領土にする。自分の所有物とする。
草原・・・一面に草が生えている広い野原。
肉体・・・肉から構成されている体。生きている人間の体。生身の体。
襟・衿・領・・・1.衣服の、首を取り囲む所につけられている部分。また、そこにつける縁どりの布。カラー(collar)。和服では、前で交わる細長い部分やそこにつける布を指す。
2.首の後ろの部分。首筋。うなじ。
3.掛け布団の、首に直接あたる部分にかける細い布。
2.首の後ろの部分。首筋。うなじ。
3.掛け布団の、首に直接あたる部分にかける細い布。
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なんとも言えない虚無的な疲れ
梶井基次郎 / 冬の蠅
朝から真夜中まで、からだがコンニャクのようになるほど駆けずり回る
小林 多喜二 / 蟹工船 一九二八・三・一五 amazon
身体は壊 れかかった機械のようにギクギクしていた。
小林多喜二 / 蟹工船
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孤独・一人ぼっちの表現・描写・類語(寂しい・喪失感のカテゴリ)の一覧 ランダム5
信徒たちは今や司祭を 喪って、一群の 仔羊 のように孤立しています。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
どうしてみんなこれほどまで孤独にならなくてはならないのだろう、ぼくはそう思った。どうしてそんなに孤独になる必要があるのだ。これだけ多くの人々がこの世界に生きていて、それぞれに他者の中になにかを求めあっていて、なのになぜ我々はここまで孤絶しなくてはならないのだ。何のために? この惑星は人々の寂寥を滋養として回転をつづけているのか。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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そのことは、ほんの小さなしこりではあったが、心に小さくひっかかったまま残った。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
夫に対する愛と憎の輾転反側 が伸子の心にまた力を盛りかえした。
宮本百合子 / 伸子
淳が機嫌よくしている時は悠木の心は満たされた。だが、ひとたび淳が反抗の気配でも漂わそうものなら、胸に溢れ返る愛情は一瞬にして底知れぬ憎悪へと変化し、どこまでも冷淡に淳に当たった。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
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氷のような寒気が背から胸へつらぬいていく
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
一瞬、熱にうかされた頭で、何が現実にあったことなのかわからなくなった。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
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我慢のならない淋しさが胃のなかにこげつきそうになって来る。
林芙美子 / 新版 放浪記
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