ガラスのふちを叩くような明るく澄んだ音

森の中からはオーケストラベルやジロフォンにまじってなんとも言（い）えずきれいな音（ね）いろが、とけるように浸（し）みるように風につれて流（なが）れて来るのでした。 　青年はぞくっとしてからだをふるうようにしました。 　だまってその譜（ふ）を聞いていると、そこらにいちめん黄いろや、うすい緑（みどり）の明るい野原（のはら）か敷物（しきもの）かがひろがり、またまっ白な蝋（ろう）のような露（つゆ）が太陽（たいよう）の面（めん）をかすめて行くように思われました。

（教会）群衆が会堂に満ち、 跪いて祈っていた。声なき音楽が、彼等のうなだれた頭の上を渡るらしかった。

やけに陽気なそのメロディは、風人の声に含まれているさみしさを一層際立たせた。

和音人名の奏でる音楽が、目の前に風景を連れてくる。朝露に濡れた木々の間から光が差す。葉っぱの先で水の玉が光って零れる。何度も繰り返す、朝。生まれたての瑞々しさと、凜々しさ。

穏やかな光をもたらしてくれるような音楽

爆音のメタルを響かせ

藻や太藺（ふとい）が風の狼藉の跡に踏みしだかれていた。

地鳴りのように雷鳴がして

（ヤナーチェック（作曲家）の『シンフォニエッタ』）音楽を聴きながら、ボヘミアの平原を渡るのびやかな風を想像し、