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額は平凡、額の皺も平凡、眉も平凡、眼も平凡、鼻も口も顎 も、ああ、この顔には表情が無いばかりか、印象さえ無い。特徴が無いのだ。たとえば、私がこの写真を見て、眼をつぶる。既に私はこの顔を忘れている。部屋の壁や、小さい火鉢は思い出す事が出来るけれども、その部屋の主人公の顔の印象は、すっと霧消して、どうしても、何としても思い出せない。画にならない顔である。漫画にも何もならない顔である。眼をひらく。あ、こんな顔だったのか、思い出した、というようなよろこびさえ無い。極端な言い方をすれば、眼をひらいてその写真を再び見ても、思い出せない。
太宰治 / 人間失格 ページ位置:2% 作品を確認(青空文庫)
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容貌・顔の印象が普通
無表情
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前後の文章を含んだ引用
......不吉なにおいのする写真であった。奇怪なのは、それだけでない。その写真には、わりに顔が大きく写っていたので、私は、つくづくその顔の構造を調べる事が出来たのであるが、額は平凡、額の皺も平凡、眉も平凡、眼も平凡、鼻も口も顎 も、ああ、この顔には表情が無いばかりか、印象さえ無い。特徴が無いのだ。たとえば、私がこの写真を見て、眼をつぶる。既に私はこの顔を忘れている。部屋の壁や、小さい火鉢は思い出す事が出来るけれども、その部屋の主人公の顔の印象は、すっと霧消して、どうしても、何としても思い出せない。画にならない顔である。漫画にも何もならない顔である。眼をひらく。あ、こんな顔だったのか、思い出した、というようなよろこびさえ無い。極端な言い方をすれば、眼をひらいてその写真を再び見ても、思い出せない。そうして、ただもう不愉快、イライラして、つい眼をそむけたくなる。 所謂 「死相」というものにだって、もっと何か表情なり印象なりがあるものだろうに、人間のからだに......
単語の意味
顎・頤・腭(あご)
顎・頤・腭・・・1.口の上下の、歯の生えている部分で、話したり物を噛んだりするのに役立つ器官。
2.下あご。頤(おとがい)。
3. 釣り針の先に逆向きにつけた返しのこと。釣り針のかかり。鐖・逆鉤・逆鈎(あぐ)。
4.機械や道具などで、物をつかんだり引っ張ったりする開閉部分。
5.食事。食料。まかない。食費。
6.口をきくこと。物言い。おしゃべり。
2.下あご。頤(おとがい)。
3. 釣り針の先に逆向きにつけた返しのこと。釣り針のかかり。鐖・逆鉤・逆鈎(あぐ)。
4.機械や道具などで、物をつかんだり引っ張ったりする開閉部分。
5.食事。食料。まかない。食費。
6.口をきくこと。物言い。おしゃべり。
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平凡なあやふやな顔の中年男性だった。耳たぶが分厚いとか、指がたくましいとか、首のラインがくっきりしているとかいう心に残る印象が、一つもなかった。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
ルックスにはなんの特徴もないかわりに、何ひとつ欠点もなくて、単純にただ男という感じだ。水島と、黒崎と、十和子の電車に押し入ろうとした青年に共通する要素を抽出精製してつくりあげた生き物のよう。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
何処にでもあるような女なんか、世の中はみむいてもくれない
林芙美子 / 新版 放浪記
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年が年中同じ顔をして、春夏秋冬一枚看板で押し通す
夏目漱石 / 吾輩は猫である
覆面をかぶらなくても十分銀行強盗ができそうなくらい無表情な車掌
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
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吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
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