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(かかってくるはずのない元カレの電話)たとえ通じ合うことはなくても、それでも複雑な回線の末端と末端に自分と黒崎がいる、そんな感覚を持ち続けていたい
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:2% 作品を確認(amazon)
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電話の音・電話が鳴る・着信 失恋・恋人と別れる
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......っそ携帯電話も家の電話もなしで暮らそうか、と何度も思う。けれども、回線から切り離されてしまった自分を想像すると、また別種のいたたまれなさを感じずにはいられない。たとえ通じ合うことはなくても、それでも複雑な回線の末端と末端に自分と黒崎がいる、そんな感覚を持ち続けていたいのかもしれない。 八年前、黒崎と別れた直後の自分が何を考えていたか、十和子の記憶は妙に朦朧としている。ひたすら電話を待ち続けて泣き暮らしたのは、最初の二ヵ月ほど......
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