それきり桜(人名)は口を閉ざした。今日喋る分については、すべて使ってしまったとでもいうように、押し黙った。まるで、本物の桜の樹になったかのように、静かだった。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り ページ位置:66% 作品を確認(amazon)
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黙る・沈黙
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......んだ」 僕は、ぽかんとそれを聞いている。そんな答え? と驚いていた。あの猫は、虹が見たかっただけなのか? いや猫がそもそも虹などを見たがったりするのだろうか? それきり桜は口を閉ざした。今日喋る分については、すべて使ってしまったとでもいうように、押し黙った。まるで、本物の桜の樹になったかのように、静かだった。 平屋に背を向けて、歩いていく。途中でふと振り返ると、桜は椅子から立ちあがっていた。封筒に入った花の種子を、土へ埋めようとしているところだった。 桜が花を咲かせ......
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黙る・沈黙の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
死の世界のように永遠の沈黙に包まれる
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
牛のように押し黙って答えない
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
(深夜の洗面台の前で二人きりになって思い出話)思い出話が終わると、もうお互いに喋る言葉が見つからなかった。二人の間をこぼれ落ちてゆく時間の音が、水の音とすり変わって、夜の果てまで細く連なっていった。
小川洋子 / ダイヴィング・プール「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
沈黙を拳で突き破るような勢いで、いらだたしく言う
永井 路子 / 朱なる十字架 amazon
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「声・口調」カテゴリからランダム5
潤いのにじむ、涙に湿ったような声
山本 周五郎 / やぶからし amazon
弾まない空気を引き立てるように佃に説明した。
宮本百合子 / 伸子
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