元は老夫婦の家なので、一歩足を踏み入れただけで、視界から色が抜け落ちてしまったような感覚に襲われる。祐一が脱ぎ捨てた赤いスニーカーだけが、汚れてはいても、唯一、そこに明るい色を残す。
吉田修一「悪人」に収録 ページ位置:24% 作品を確認(amazon)
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室内の雰囲気
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......。「晩メシ食うてから」 祐一がまたぼそっと呟いて車を降りる。 祐一のあとを追って玄関に入ると、病人がいる家特有のにおいがした。祐一が一緒に暮らしているとはいえ、元は老夫婦の家なので、一歩足を踏み入れただけで、視界から色が抜け落ちてしまったような感覚に襲われる。祐一が脱ぎ捨てた赤いスニーカーだけが、汚れてはいても、唯一、そこに明るい色を残す。「おばさん!」 さっさと廊下を歩いていく祐一に呆れながら、憲夫は奥へ声をかけた。 靴を脱いでいると、「あら、憲夫が来たとね? 珍しか」と祐一に尋ねる房枝の声が聞......
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扉を押して一歩入ると甘酸っぱい空気で、広いホールは薄暗い照明だが、人熱れでむせかえっていた
芝木好子 / 慕情の旅(青春の行方) amazon
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電燈の光はそこまで届かなかったので、彼女はできるだけ暗い片隅にかくれるように小さく身をちぢめていた。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
鍋墨をぬったような真っ黒な室内が、古い写真の印画に似て、朦朧と浮かぶ
獅子 文六 / てんやわんや amazon
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