エーテルのように風景に拡がってゆく虚無
梶井基次郎 / 冬の日 ページ位置:45% 作品を確認(青空文庫)
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むなしい・虚無感
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前後の文章を含んだ引用
......かな音をさせながら、堯にすれちがってすたすたと坂を登って行った。 「俺の部屋はあすこだ」 堯はそう思いながら自分の部屋に目を注いだ。薄暮に包まれているその姿は、今エーテルのように風景に拡がってゆく虚無に対しては、何の力でもないように眺められた。 「俺が愛した部屋。俺がそこに棲 むのをよろこんだ部屋。あのなかには俺の一切の所持品が――ふとするとその日その日の生活の......
単語の意味
虚無(きょむ)
風景(ふうけい)
虚無・・・むなしいこと。人生のむなしさを意識すること。この世のありとあらゆるものに価値や意味などないと認めてしまうこと。
風景・・・自然の景色。目の前に広がる眺め。その場の情景。
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むなしい・虚無感の表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
まるでガラス壜(びん)に入れられた蠅のように虚無という不可能に突き当りながら、とび廻っていたのだ。
椎名 麟三 / 永遠なる序章 amazon
たまらないほどの虚脱感が彼を襲った。辛うじて身をひとつに寄せ合っていた様々な意識の流れが、突然それぞれの方向に歩み始めたようでもある。何処まで行けばそれらの流れがまたひとつに巡り合えるものか鼠(人名)にはわからない。いずれは茫漠とした海に流れこむしかない暗い川の流れだ。二度と巡り合うこともないのかもしれない。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
空漠とした思い
林芙美子 / 新版 放浪記
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最後の誇りも希望も毮 り落されてしまう
岡本かの子 / 渾沌未分
わたしはどうしようもなく悲しかった。身体が破裂しそうだった。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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