フランス人はパンが好きで、パンならいくらでも食べられるが、ご飯は食べなれていないし、野菜としてあつかうくらいだから、ほんの少ししかたべない。

茶褐色で、トゲトゲしていて、しつこそうで、油っぽくて、一癖も二癖もありそうな問題児的イメージのカレーパン。異端を少しも恐れない確信犯的風貌。

ケシの実のついたアンパンを取って食べる。紫色のあんこが柔らかくて馬鹿にうまい。

クロワッサンをカフェオレに浸してチュッチュと口に運ぶ。パンの皮が食卓に散り、カフェオレにはクロワッサンから染み出たバターが水玉模様になって浮かぶ。

コロッケパンの特長は、コロッケの柔らかさがパンの柔らかさ同調しているところにある。コロッケパンの同類にハムカツサンドがあるが、ハムカツはパンと同調しない。噛んでいくと、ハムカツのところで歯の動きがいったん止まる。コロッケパンは、噛んでいくといつのまにか歯がコロッケを通過している。そして、口の中がいつのまにかパンとコロッケとソースが混じりあった味になる。混じりあった瞬間、なんだかとても楽しい気分になる。

沼へでも落ちた人が足を抜こうと焦慮（あせ）るたびにぶくぶく深く沈むように、噛めば噛むほど口が重くなる、歯が動かなくなる。

芋の粉で蒸しあげた手製のパン

表面がさっぱり、中がねっとりした揚げ餅はポン酢がよく合う。油臭さが消えて実に豊かで爽やかな味だ。

一口噛むと案外硬くて粉がボロボロ膝にこぼれ落ちる

いいぱんだろう。ほしぶどうがちょっと顔（かお）をだしてるだろう。