肥り肉の女が、よく汗ばんだ襟首を押しはだける癖があるように、大根は身体中の肉がはちきれるほど肥えて来ると、息苦しそうに土のなかに爪立をして、むっちりした肩のあたりを一、二寸ばかり畦土の上へもち上げて来る。そして初冬の冷い空気がひえびえと膚にさわるのを、いかにも気持よさそうに娯しんでいるようだ。

紙のように薄く切られた大根

芸のまずいのを大根役者というが、軽井沢の夏大根くらいぴりっと滋味をもつ役者なら、大根と呼ばれてもいいなぁ

大根抜きにして日本料理はありえない。日本料理の精華は刺身である。刺身はツマがなければ刺身にならない。白髪大根あっての刺身であり、日本料理なのだ。

この大根の煮物はおそろしく広がりと深みのある味がする

太い木の根のようなキャベツ

（千切り大根）農家の内外にはいつも干し藁や干し豆やもみや糠の匂いが漂っているが、とくに千切り大根を取り込んで来たときはあたり一帯甘くやわらかい陽の匂いが立ち、ここが桑島村であるのを綾子にしっかり実感させるのであった。

ダイコンはおろしたり刻んだりして組織が破壊されると辛味が出る。粗いおろし金でざっとおろすと、あまり辛くない大根おろしができるのは、組織が十分に破壊されないからだ。

大きなとうもろこしの木を見ました。その葉（は）はぐるぐるに縮（ちぢ）れ葉（は）の下にはもう美しい緑（みどり）いろの大きな苞（ほう）が赤い毛を吐（は）いて真珠（しんじゅ）のような実（み）もちらっと見えたのでした。

すりつぶすとピリッと目と鼻を刺激する、しかし何ともいえない甘みと香りが漂い始める