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爪の先ほどの小さな、スポイトから垂らした水滴にも似た、てんとう虫がいた。赤い滴の上に、筆の先を尖らせ、墨汁で斑点をつけたような繊細なその殻
伊坂 幸太郎 / マリアビートル ページ位置:72% 作品を確認(amazon)
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天道虫(てんとうむし)
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前後の文章を含んだ引用
......ポポはタフであるから生き残りが多いだけで、仮にセイヨウタンポポが入ってこなかったところで、カントウタンポポは消えていった。 黄色い花のそばに、赤色が目に入る。 爪の先ほどの小さな、スポイトから垂らした水滴にも似た、てんとう虫がいた。赤い滴の上に、筆の先を尖らせ、墨汁で斑点をつけたような繊細なその殻に、槿は目を細める。 昆虫のこのデザインは、いったい誰が考えたものなのか。 環境に順応し、進化した結果だけとは思えない。赤色に黒の斑点の必然性などあるのか。グロ......
単語の意味
斑点(はんてん)
天道虫・瓢虫・紅娘・店頭虫(てんとうむし)
斑点・・・ぶつぶつ模様。たくさん散らばった小さな点。
天道虫・瓢虫・紅娘・店頭虫・・・テントウムシ科の甲虫の総称。背中は半球形でつやがある。赤地に黒の斑点があるものが最も多く普通。無地のものもいる。多くはアブラムシなどを食べる益虫だが、作物を食べる害虫もいる。「天道虫」の字の由来は、太陽に向かって飛んで行くので太陽の別名、天道(お天道さま)から。
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天道虫(てんとうむし)の表現・描写・類語(昆虫・虫のカテゴリ)の一覧 ランダム5
先ほどの植え込みにいたてんとう虫は、ひょいと空に飛んだ。小さなその黒い斑点の分だけ、その場の悲しみが、もちろんそれは本当に微量ではあるのだが、すっと軽くなる。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
レディバグ、レディビートル、てんとう虫は英語でそう呼ばれている。その、レディとは、マリア様のことだ、と聞いたことがあった。《…略…》マリア様の七つの悲しみを背負って飛んでいく。だから、てんとう虫は、レディビートルと呼ばれる。 七つの悲しみが具体的に何を指すのか、槿(人名)は知らない。が、あの小さな虫が、世の中の悲しみを黒い斑点に置き換え、鮮やかな赤の背中にそっと乗せ、葉や花の突端まで昇っていくのだ、と言われれば、そのような健気さを感じることはできた。てんとう虫はこれより上には行けない、というところまで行くと、覚悟を決めるためなのか、動きを止める。一呼吸を空けた後、赤い外殻をぱかりと開き、伸ばした翅を羽ばたかせ、飛ぶ。見ている者は、その黒い斑点ほどの小ささではあるが、自分の悲しみをその虫が持ち去ってくれた、と思うことができる。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
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耳のあたりでちいさな歌をきいたように思ったので婦人がふりむくと、そこには一匹の蜂がけだるそうに飛んでいた
三島由紀夫 / 花ざかりの森 amazon
(ハエが飛んでいるような羽音は、)ぷーんともずーむとも書き表せるような音だった。空の上から聞こえてくるようでもあったし、床下から響いてくるようでもあった。なにかが震えて動いている、そんな感じの音だった。
瀬名 秀明 / パラサイト・イヴ amazon
鼈甲(べっこう)のような色沢(つや)の長い足を持った女郎蜘蛛
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
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