TOP > 暮らしの表現 > 人生 > 堕落する・破滅する・転落する
一直線に墜落した女
林芙美子 / 新版 放浪記 ページ位置:24% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
堕落する・破滅する・転落する
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......た。沈鐘の唄もうたった。なつかしい尾道の海はこんなに波が荒くなかった。二人でかぶったマントの中で、マッチをすりあわして、お互に見あった顔、あっけない別離だった。一直線に墜落した女よ! と云う最後のたよりを受取ってもう七年にもなる。あの男は、ピカソの画を論じ、槐多の詩を愛していた。私は頭を殴りつけている強い手の痛さを感じた。どっかで三味線......
ここに意味を表示
堕落する・破滅する・転落するの表現・描写・類語(人生のカテゴリ)の一覧 ランダム5
かつては──と僕は思った──僕も希望に燃えた まともな 人間だった。高校時代にはクラレンス・ダロウの伝記を読んで弁護士になろうと志した。成績も悪くなかった。高校三年のときには「いちばん大物になりそうな人」投票でクラスの二位になったこともある。そして比較的きちんとした大学の法学部にも入った。それがどこかで狂ってしまったのだ。 僕は台所のテーブルに頰杖をつき、それについて──いったいいつどこで僕の人生の指針が狂いはじめたかについて──少し考えてみた。でも僕にはわからなかった。とくに何か思いあたることがあったというわけではないのだ。政治運動で挫折したのでもないし、大学に失望したのでもないし、とくに女の子に入れこんだというのでもない。僕は僕としてごく普通に生きていたのだ。そして大学を卒業しようかという頃になって、僕はある日突然自分がかつての自分でなくなっていることに気づいたというわけだ。 きっとそのずれは最初のうちは目にも見えないような微小なものだったのだろう。しかし時が経過するに従ってそのずれはどんどん大きくなり、そしてやがてはそもそものあるべき姿が見えなくなってしまうような辺境に僕を運んできてしまったのだ。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
そろそろと地の中に引きこまれて行くような薄気味の悪い零落
有島武郎 / 生まれいずる悩み
(落ちぶれて行く生活)あゆみは致死的な渦巻きの中心に向かって緩慢な、しかし避けることのできない接近を続けていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
このカテゴリを全部見る
「人生」カテゴリからランダム5
才能らしきものの見当らぬ私にとって、現在かくある小説家という職業そのものが奇蹟であった。いわば大空への 飛翔 を夢見た少年が、がむしゃらに徒手空拳を振り回すうちに、鳥になったようなものである。
浅田次郎 / あとがきにかえて(奇蹟の一巻)「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
人間が、今ここにあるこのしっかりした塊が、じつはぐにゃぐにゃに柔らかく、ちょっと何かが刺さったり、ぶつかったりしただけで簡単に壊れてしまう 代物 だというのを実感したのは、最近のことだった。 こんな、生卵みたいなものが
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
いやなことはくさるほどあり、道は目をそむけたいくらい険しい
吉本 ばなな / キッチン「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
人生 の表現の一覧
暮らしの表現 大カテゴリ