見るからに奇妙な家だった。感じが悪いわけでも寒々しいわけでもなく、とくに変った建てかたをしてあるわけでもなく、どうしようもないほど古びているわけでもない。ただ──奇妙だった。それはうまく感情表現できないまま年老いてしまった巨大な生き物のように見えた。どう表現すればいいのかではなく、何を表現すればいいのかがわからなかったのだ。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:77% 作品を確認(amazon)
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家の佇まい・外観
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......きだしていた。家のまわりには垣根はなく、そのかわりに年を経た一群の常緑樹が枝を広げて、雨風や雪から建物を守っていた。家には不思議なくらい人気が感じられなかった。見るからに奇妙な家だった。感じが悪いわけでも寒々しいわけでもなく、とくに変った建てかたをしてあるわけでもなく、どうしようもないほど古びているわけでもない。ただ──奇妙だった。それはうまく感情表現できないまま年老いてしまった巨大な生き物のように見えた。どう表現すればいいのかではなく、何を表現すればいいのかがわからなかったのだ。 あたりには雨の匂いが漂っていた。急いだ方が良さそうだった。我々はその建物に向けて一直線に草原を横切った。西からはこれまでのようにこまぎれではない、雨をはらんだ......
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家の佇まい・外観の表現・描写・類語(家・建物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
林の中に立つ別荘群の中でも目立つ、小さいながらも派手なつくりの建物
吉本 ばなな / 大川端奇譚「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
厚い檜皮ぶきの屋根が、重く暗い量感で、おそろしく迫って来た
川端康成 / 古都 amazon
軒端がくずれ、朽ち腐った藁屋根にむっくりと青苔が生えているようなあばら家
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
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フォークソングの歌詞に出てくる住み処みたいで風情がある
綿矢 りさ / かわいそうだね?「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
高層のビル群は、重く低い灰色の雲を支えて視界の辺縁に寒々と立ちすくんでいる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
村落の茅屋が落ち葉をもたげて出た茸のよう
長塚 節 / 土 amazon
雲一つなく暮れて行く空を刺していた黒い鉄骨のエッフェル塔は余りににべも無い。
岡本かの子 / 巴里祭
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