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遠い遠い山巓さんてんを眺めていると、車体の揺れと自然との交感が音波のように錯綜して、伸子の全身に音楽的リズムがこみ上げて来た。
宮本百合子 / 伸子 ページ位置:49% 作品を確認(青空文庫)
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乗り物が揺れる
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前後の文章を含んだ引用
......の山々に向って延したいほど感動を覚えた。彼女は、再び自分に還る生活を感じ、勇しくび駈ける馬に立ちりでもしているように、しっかり、窓に向って両脚で突っ立って、遠い遠い山巓さんてんを眺めていると、車体の揺れと自然との交感が音波のように錯綜して、伸子の全身に音楽的リズムがこみ上げて来た。  シュッ、シュッ、カ、カ、 (しかし、彼の山々は――)、いきなり、畳句リフレインが記憶の底から浮み出て、その後にとびついた。  シュッ、シュッ、カ、カ、――しかし彼の山々は―......
単語の意味
錯綜(さくそう)
山巓(さんてん)
錯綜・・・いくつもの物事が分かりにくく絡まりあっていること。物事の関係が複雑で混乱すること。
山巓・・・頂上。山の最も上の部分。
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