TOP > 暮らしの表現 > 生と死 > 喪失感(大切なものを失う)
TOP > 風景表現 > 室内のようす > 使われていない部屋・部屋主がなくなった部屋
(痴呆症の祖母を施設に預けて自宅には戻らない)ことばを持たない、動かない人間が一人居なくなっただけなのに、沈黙に閉じ込められた、この空気の希薄さは何故だろう。さえの居た場所は厚紙のように切り取られて、その跡が空洞のまま残っている。
小川洋子 / 揚羽蝶が壊れる時「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:33% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
喪失感(大切なものを失う)
使われていない部屋・部屋主がなくなった部屋
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......はいつもの朝食が並んでいた。彼女はいつもの仕草で、紅茶を飲んでいた。それが、二人の生活があのような祈りから始まっていることを知った最初だった。 窓ガラスが鳴る。ことばを持たない、動かない人間が一人居なくなっただけなのに、沈黙に閉じ込められた、この空気の希薄さは何故だろう。さえの居た場所は厚紙のように切り取られて、その跡が空洞のまま残っている。襖の隙間から覗く祈りの姿が、何枚も何枚も剥れてゆく。さえの形はどれもぴったり重なり合うけれど、わたしは一枚ごとに違っている。赤い吊りスカートのわたし。Tシャツに......
ここに意味を表示
喪失感(大切なものを失う)の表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(自殺した友子)そしてわかった。自分が実は友子を恨んでいるということ。あの夜彼女は自分の言いたいことだけ言い、思い残すことなくこの世を去り、智明の心だけがあの夜の中に置き去りにされたこと。
吉本ばなな / サンクチュアリ「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
使われていない部屋・部屋主がなくなった部屋の表現・描写・類語(室内のようすのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(えり子が亡くなって雄一が残った部屋)部屋中が夜の中でしんと静まって、雄一の声を聞いているようだった。この部屋もまたえり子さんの不在にとまどっているように感じ続けていた。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「悲しみ」カテゴリからランダム5
お民さんは可哀相なほど元気がないのです。木の葉のそよぐにも溜息 をつき烏 の鳴くにも涙ぐんで、さわれば泣きそうな風でいたところへ、お母さんから少しきつく叱られたから留度 なく泣いたのでしょう。
伊藤左千夫 / 野菊の墓
肉体的な痛みのような悲しさ
宮本百合子 / 伸子
「生と死」カテゴリからランダム5
子ども産むのってすごく痛いんだって。スイカを鼻の孔から出しながら、腰を金づちで殴られるくらい苦しいらしいよ。
瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された (文春文庫)」に収録 amazon
(訃報の)葉書を読み返し、念のために表も確認して、またしばらく文中の「他界」という文字を見つめていた。その言葉には、自分が知っている以外の、何か他の意味があっただろうかという風に。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
「室内のようす」カテゴリからランダム5
薄暗い玄関が水の中のように感じられる。
黒井 千次 / 群棲 amazon
畳の目も、傷んだところは 藺草 が切腹して、なかから、キビガラの 芯 みたいなのがはみ出していた。畳の目ひとつひとつが小さなクッションになっている。
向田邦子 / 耳「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
悲しみ の表現の一覧
悲しみのレベル
悲しみの感覚、精神的な反応
悲しみの表情、リアクション
その他の悲しみの表現
次の文字を含む「悲しみ」の表現を検索 |
悲しさが 悲しみを 悲しくて 悲しさ 悲しい 心 哀感 胸 寂しさが 寂しさ |
生と死 の表現の一覧
室内のようす の表現の一覧
感情表現 大カテゴリ