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俺は目の端で彼女の気配だけをとらえている。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 ページ位置:96% 作品を確認(amazon)
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人の気配
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......のをこらえて、俺はゆっくりと階段を登り始める。花の匂いのする風が吹き、スーツを膨らませる。階段の上には、彼女が立っている。でもその姿を直視することができなくて、俺は目の端で彼女の気配だけをとらえている。その気配が、階段を降り始める。春の大気に、彼女の靴音がそっと差し込まれている。俺の心臓が、肋骨の中で跳ねている。 私たちは目を伏せたまま近づいていく。彼はなにも......
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