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(不忍の池の枯れ蓮)漆のような黒い水に、枯れ蓮 の茎や葉が一層くろぐろと水面に伏さっているのが窺 かれる。その起伏のさまは、伊香保の湯宿の高い裏欄干 から上 つ毛野 、下 つ毛野 に蟠 る連山の頂上を眺め渡すようだった。そのはろばろと眺め渡して行く起伏の末になると、枯蓮の枯葉は少くなり、ただ撓 み曲った茎だけが、水上の形さながらに水面に落す影もろとも、いろいろに歪 みを見せたOの字の姿を池に並べ重ねている。
岡本かの子 / 雛妓 ページ位置:14% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
冬
池・湖・沼・水たまり
蓮(はす)
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前後の文章を含んだ引用
......襖からの出入りの足を急いだ。 七時のときの鐘よりは八時の鐘は、わたくしの耳に慣れて来た。いまは耳に手を当てるまでもなく静に聞き過された。一枚開けた障子の隙 から、漆のような黒い水に、枯れ蓮 の茎や葉が一層くろぐろと水面に伏さっているのが窺 かれる。その起伏のさまは、伊香保の湯宿の高い裏欄干 から上 つ毛野 、下 つ毛野 に蟠 る連山の頂上を眺め渡すようだった。そのはろばろと眺め渡して行く起伏の末になると、枯蓮の枯葉は少くなり、ただ撓 み曲った茎だけが、水上の形さながらに水面に落す影もろとも、いろいろに歪 みを見せたOの字の姿を池に並べ重ねている。わたくしはむかし逸作がこの料亭での会食以前、美術学校の生徒時代に、彼の写生帳を見ると全頁 悉 くこの歪んだOの字の蓮の枯茎しか写生してないのを発見した。そしてわたく......
単語の意味
蟠る(わだかまる)
撓む(たわむ)
撓る・撓う(しなる・しなう)
遥遥・遥々(はるばる・はろばろ)
起伏(きふく)
欄干・闌干(らんかん)
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵(すがた)
蟠る・・・心配や不満などの気持ちで、心の中がスッキリしない。心の中がモヤモヤしてる。
撓む・・・まっすぐのものが力を加えられて、そり曲がった状態になる。
撓る・撓う・・・1.弾力があるため、折れずに、そり曲がった状態になる。撓む(たわむ)。
2.頼りなさそうにナヨナヨする。自らを支える力もなさそうに弱々しくする。
2.頼りなさそうにナヨナヨする。自らを支える力もなさそうに弱々しくする。
遥遥・遥々・・・距離や時間、程度がかけ離れているさま。遠くまで範囲が広がっているさま。はるかに。
同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
起伏・・・1.高くなったり低くなったりしていること。高低。
2.栄えたり衰えたり、色々変化すること。
2.栄えたり衰えたり、色々変化すること。
欄干・闌干・・・人が落ちるのを防ぐための手すり。
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵・・・1.身体の形。からだつき。人のからだの格好。衣服をつけた外見のようす。
2.身なり。容姿。
3.目に見える、人の形。人の存在。
4.物の、それ自体の形。物一つ一つの全体的な印象。
5.物事のありさまや状態。事の内容を示す様相。
以下の文字は訓読みで、「すがた」と読める。
[形・容・態・躰・軆・體・骵]
2.身なり。容姿。
3.目に見える、人の形。人の存在。
4.物の、それ自体の形。物一つ一つの全体的な印象。
5.物事のありさまや状態。事の内容を示す様相。
以下の文字は訓読みで、「すがた」と読める。
[形・容・態・躰・軆・體・骵]
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青空が広く、葉は落ち尽くし、鈴懸 が木に褐色 の実を乾かした。
梶井基次郎 / 雪後
枯れて枝だけをのばす街路樹。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
(暖かい日が続いた冬)春めいた天気が続いていたが、どこかで手つかずの寒気の在庫でも見つかったかのように、今朝からまた急に寒さがぶり返していた。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
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池が銀を焼き溶かして湛えるように光る
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湖が酷薄な女の目のように冷たそうに青く光る
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どぶ色をした大きな河。
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街にクリスマスの飾りがみられるようになった時期
向田邦子 / 大根の月「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
臘月(ろうげつ)が尽き、新しい年を迎える
福永 武彦 / 風のかたみ amazon
初冬の冷く粒立った空気が、爽かな陽光を含んで冴え返っていた
五木寛之 / 夜の斧 amazon
窓を開けると柔らかい陽と草の匂いの交じった春の匂いがして、桜がつぼみをつけていること、これがしばらくすると満開の淡いピンクの空間をうみだすこと。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
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数本まとめて植えられている欅が、伸びすぎた髪の毛のように緑の葉を生い繁らせている。
本谷 有希子 / 異類婚姻譚 amazon
落ち葉の間から不気味な色をした茸がちらりと覗く
堀 辰雄 / 美しい村 amazon
うめばちそうの白い花
宮沢賢治 / 鹿踊りのはじまり
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