たちまちあわてたように起って部屋へ往った。泣いてはならぬと思ったのである。
森鴎外 / 阿部一族 ページ位置:19% 作品を確認(青空文庫)
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泣きそう・泣くのを我慢
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前後の文章を含んだ引用
......。女房があとからそっとはいって枕を出して当てさせたとき、長十郎は「ううん」とうなって寝返りをしただけで、また鼾をかき続けている。女房はじっと夫の顔を見ていたが、たちまちあわてたように起って部屋へ往った。泣いてはならぬと思ったのである。 家はひっそりとしている。ちょうど主人の決心を母と妻とが言わずに知っていたように、家来も女中も知っていたので、勝手からも厩 の方からも笑い声なぞは聞こえない。 母......
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泣いてはいけない、泣いてはいけない、そうやって涙をこらえていると、夜中気付かぬ間に涙を流すようになり、朝起きると、枕が濡れ、目が真っ赤に腫れていることがよくありました。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 amazon
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