本を閉じ、双子の声をぼんやりと聞きながら、暗闇にひきずり込まれるように目を閉じた。

（目を閉じていると）これまであったものとはべつの種類の暗闇が僕の意識の中にもぐりこもうとしているように感じられた。おそらく僕は眠ろうとしているのだろう、と僕は思った。眠りたくはなかったけれど、もう何をもってしてもそれを押しとどめることは不可能であるように僕には思えた。なだらかなカーブを描くキャンバス地のデッキ・チェアの上で、僕の体は不格好なくらいに重く感じられた。

夜の中に彼女を置き去りにして眠りの中に去ったりする。

口を開けて気持ちよさそうに眠っている。

目を閉じて思考のスイッチを切って眠りにつく。

眠ることなんてできなかった。激しいざわめきの記憶が血管の中に残っていた。

夢見るような表情

眠っているときにしばしば見せる夢のような笑顔

冷たくなっている部分を探すように、愛子はぺたんこの布団の上をごろごろと転がる。

（夢から覚める）──あなたはわたしの弟なの？──そう尋ねようとした時、夢は裂けた。