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(現実感がない)食事の間じゅう、十和子は一種の浮揚感につきまとわれている。椅子にすわってものを食べている身体から少し浮き上がったところに自分がいるような、あるいは、いつか水島に贈ったガラスのペーパーウェイトのなかのあの気泡によく似たものが、しきりと体内から逃れ出ようとしているような、そんな感じ。無重力とはいわないが、宇宙船の内部の人工的に作りだされた重力場にいる、そんなぎこちなさ。《…略…》夢だ。こんなふうにどうしても身体が浮いているのが夢であることの証拠だ。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:90% 作品を確認(amazon)
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夢のよう・現実味がない
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......建売住宅が建って、人が住んでる。二年ほどしてからいっぺんだけふらっと行ってみたんや。せやけど、もう俺自身にもどこらへんに埋めたかわからんようになってしもてた」 食事の間じゅう、十和子は一種の浮揚感につきまとわれている。椅子にすわってものを食べている身体から少し浮き上がったところに自分がいるような、あるいは、いつか水島に贈ったガラスのペーパーウェイトのなかのあの気泡によく似たものが、しきりと体内から逃れ出ようとしているような、そんな感じ。無重力とはいわないが、宇宙船の内部の人工的に作りだされた重力場にいる、そんなぎこちなさ。「うん、うまい。解凍した肉とは思えんわ。食べてみ、十和子」 陣治の唇の端に薄赤いケチャップが付いている。今この瞬間が夢でないとすると、さっきまでのあれは夢にちが......<中略>......を飲んでしまう。置いたグラスにまたビールを注ごうとすると、途中で缶が空っぽになる。細った液体が、捩れて、切れぎれに、泡立ちながら、グラスのなかの液体につながる。夢だ。こんなふうにどうしても身体が浮いているのが夢であることの証拠だ。トンカツのパン粉がザラザラと立っている。見ないようにしながら、一口かじる。噛みとった肉から、今までに食べたどんな肉よりも肉らしい臭気と香味が溢れ出て口中にひろが......
単語の意味
身体(しんたい)
身体・・・人のからだ。肉体。
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