ホールの鏡壁の七面へ映る七人の自分
岡本かの子 / 巴里のキャフェ――朝と昼―― ページ位置:41% 作品を確認(青空文庫)
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鏡・ミラー
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前後の文章を含んだ引用
......ィスの間を、邪魔にならぬように詰った客の間を、売歩く。 「あの、桃の肉が溶けているイタリーのヴェルモットはありませんかしら」 と誂えて置いて、トオクを冠った女客がホールの鏡壁の七面へ映る七人の自分に対して好き嫌いをつけている。後向き、好き。少し横向き、少し好き。真横、好かない。七分身、やはり少し。では真向きの全身――椅子を直すふりして女客は立ち上った。が......
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百貨店の大きくひらかれた一階の、高級な、手入れの行き届いた光のなかの一点の曇りもない大きな鏡のなかで自分の顔を映せば、色々な感情は奥へ奥へとひきのばされて女自身にもつかみどころのないものに変化して、それをまんべんなく見つめて、そこからしか見えないものを、隅々まで管理しつづける
川上 未映子 / あなたたちの恋愛は瀕死「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
元来鏡というものは気味の悪いものである。深夜蝋燭 を立てて、広い部屋のなかで一人鏡を覗 き込むにはよほどの勇気がいるそうだ。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
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ベンチはどれも黒光りのする年代物だ。
浅田次郎 / 鉄道員(ぽっぽや)「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
ハンモックに上半身を乗せて、砂だらけの白い足に勢いをつけ、ほとんど転がりこむようにして縄目のなかに仰向けで寝転べば、見た目ほどの繊細さと軽やかさはなく、縄目は強く背中に当たり、ぎしぎしと鳴り、いつか木の縄がほどけてしまうのではないかと思わせる不安定さが、寝転がっている限り続く。虫を捕らえた食虫花のように縄の両側が段々すぼまってくる。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
凧(たこ)の緒のようなワイア
葉山 嘉樹 / 海に生くる人々 amazon
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