礼儀正しい日頃の習慣

頑なに昔からのしきたりを守る

生活全体が、その仏壇のように古風な伝統にみちていた。

古い因襲に身動きできないほど縛られる

貴金属の鉱脈のような一脈の伝統

新時代の幕開け

「さて、記憶とはあやふやなものです」響野はつづける。「脳の中にノートブックがあり、中を覗いてみると、思い出すべきことが日本語で丁寧に描かれている。大事なところにはマーカーまで引かれている。そんなことは決してありません。記憶というのはしょせんは脳の中のシナプスの伝達活動によって生じるものです。シナプスの電位変化が記憶となるのです。何年経っても同じ形状で残っている保証はどこにもないでしょう。それこそ記憶とは、思い出そうとしている今この瞬間の自分によって新たに創り出された、『記憶と思われるもの』にすぎないのです。創造物です。まさに、『歴史』が、権力者によって捏造された共通認識であるのと似ています。記憶は生のまま氷温保存されるわけではないのですよ」

まだ起こっていないことを検討するのはむつかしい。

（時代の流れに逆らえず飲み込まれる）時代というものがのしかかる

古代書より受け継がれた味