ぼくはせつない気持ちになった。風の強い夜に、高い石壁にわけもなく予定もなく信条もなくただへばりついている無意味な虫のような気持ちだった。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:35% 作品を確認(amazon)
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心細い
孤独・一人ぼっち
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前後の文章を含んだ引用
......クトゥでもアルアンダでも、なんでもいい。とにかくすごくすごく遠くだ。そしておそらく、これから彼女はさらにどんどんぼくから遠くに離れていくのだろう。そう考えると、ぼくはせつない気持ちになった。風の強い夜に、高い石壁にわけもなく予定もなく信条もなくただへばりついている無意味な虫のような気持ちだった。すみれはぼくから離れて「さびしい」と言う。でも彼女のとなりにはミュウがいる。ぼくには誰もいない。ぼくには──ぼくしかいない。いつもと同じように。 すみれは8月1......
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世界中にたった一人置いてけぼりにされたように(心細い)
森田 たま / もめん随筆 amazon
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孤独・一人ぼっちの表現・描写・類語(寂しい・喪失感のカテゴリ)の一覧 ランダム5
「もし摩擦がなかったら」とその本には書いてあった。「自転の遠心力で地球上の何もかもが宇宙に吹き飛ばされてしまうでしょう」と。僕は実にそんな気分だった。《…略…》君がいないと僕は遠心力で宇宙の端っこの方に吹き飛んでいってしまいそうな気がするんだ。お願いだから僕に顔を見せて、僕を何処かにつなぎとめてほしい。現実の世界につなぎとめてほしいんだ。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
(仲よしグループから当然の絶縁を宣告され、思い当たることがない心境)どう言えばいいんだろう、まるで航行している船のデッキから夜の海に、突然一人で放り出されたような気分だった《…略…》誰かに突き落とされたのか、それとも自分で勝手に落ちたのか、そのへんの事情はわからない。でもとにかく船は進み続け、僕は暗く冷たい水の中から、デッキの明かりがどんどん遠ざかっていくのを眺めている。船上の誰も船客も船員も、僕が海に落ちたことを知らない。まわりにはつかまるものもない。そのときの恐怖心を僕は今でも持ち続けている。自分の存在が出し抜けに否定され、身に覚えもないまま、一人で夜の海に放り出されることに対する怯えだよ。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
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死者のような真蒼な顔
松本 清張 / 美の虚像「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
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大事なものをぬきとられたようなさびしさ
壺井 栄 / 二十四の瞳 amazon
糸のように細く引いた、しかも無理に長さをたぐりのばせるようなかすかな淋しさが、胸の辺りから流れ上る
野間 宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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