マスクの下から低い動物的な呻き声が洩れはじめた。《…略…》犬の遠吠えに似た声で、長く、途切れ途切れに呻くだけであった。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 ページ位置:77% 作品を確認(amazon)
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うなる・うめく
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前後の文章を含んだ引用
......つめたまま呟いた。第一期は患者が麻酔のため失われていく意識と本能的に闘おうとしている時である。「エーテルの点滴を絶やすなよ」助手は捕虜の手を押えながら注意した。マスクの下から低い動物的な呻き声が洩れはじめた。エーテル麻酔の第二期にかかったのだ。この時、患者の中には呶鳴ったり、歌を歌うものもいる。けれどもこの捕虜は犬の遠吠えに似た声で、長く、途切れ途切れに呻くだけであった。「上田君、聴診器を持ってきてくれ」 上田看護婦からステトを引ったくると、浅井助手は急いでそれを捕虜の毛むくじゃらな胸に当てた。「戸田君。点滴を続けてくれ」「大丈......
単語の意味
犬・狗(いぬ)
犬・狗・・・1.イヌ科の哺乳動物。大昔から人間に飼育されてきた家畜。従順で賢く、家やヒツジの番をしたり、犯人捜査や目や耳の不自由な人の導いたりもできる。
2.(あちこちとかぎ回るところから)他人の秘密などをかぎ回って報告する者。スパイ。まわしもの。間者(かんじゃ)。
2.(あちこちとかぎ回るところから)他人の秘密などをかぎ回って報告する者。スパイ。まわしもの。間者(かんじゃ)。
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うなる・うめくの表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
「むうー」という、ふんづけられたガマガエルの発するような呻き声をたてる
荻野 アンナ / 背負い水 amazon
マグネシュームを燃すような瞬間的な唸き声が全身から飛び出た。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
獣のようにこの城のはなから悲しい唸 声を出してみたい
梶井基次郎 / 城のある町にて
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「おうおうおう」と、獣みたいなうめき声が洩れてくる。
向田邦子 / 耳「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
「はっ、馬鹿か……」 眉間に皺を寄せ呪詛のように呟く
羽田 圭介「ミート・ザ・ビート (文春文庫)」に収録 amazon
かの女に云っているのか、独白なのかけじめのつかないような云い方だった。
岡本かの子 / 母子叙情
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