（ハヤの稚魚の編隊）小魚の腹がナイフのようにひらめいた

赤黄く濁った、にぶい電燈のなかでチラッと瓶（びん）の角が光ってみえた。

晩秋の日差しはどこかに寂しさがあって、車のガラス窓で 弾ける反射光が強さのわりに目に 沁みなかった。

湖面に太陽が反射して、無数の光の粒子が飛び交う。

舗道には午後の光が溢れて柔らかい金色の艶のある光を照り返した

飛魚の群れが銀色に光りながら波間をはねる

月光に青白く光る刀のような長い魚

（片口鰯）水中から銀片のように、シコイワシが撥ね上っている

飛魚（とびうお）の群れが銀色に光りながら波間をはねる

サメがヒレを立てて海原を滑らかに泳ぐ

昼間は気づかない洒落た形の蛍光灯

峠道の冷たいアスファルトを、車のライトだけが青白く照らしていた。カーブを曲がるたびにライトがガードレール先の藪を照らし、複雑な模様をした樹肌がくっきりと見てとれた。

街灯が等間隔に立っていて、ひとしなみにあたりを照らしている

薄明るい

テレビのコントラストをすごく暗くしたときみたいに、何も見えないけど、目を凝らすと誰かがいることを感じる

蛙の声に家も身も埋めらるるように感じるほど、夜がしんとしている

まるで大きなオパールを嵌（は）めこんだような（蝶貝）

列を作った三匹の雄魚は順々に海戦の衝角突撃（しょうかくとつげき）のようにして、一匹の雌魚を、柳のひげ根の束（たば）の中へ追い込もうとしている。雌は避けられるだけは避けて、免（まぬが）れようとする。なぜであろうか。処女の恥辱のためであろうか。生物は本来、性の独立をいとおしむためか。それともかえって雄を誘うコケットリーか。ついに免れ切れなくなって、雌魚は柳のひげ根に美しい小粒（こつぶ）の真珠のような産卵を撒き散らして逃げて行く。雄魚等は勝利の腹を閃めかして一つ一つの産卵に電撃を与える。

この小動物（小瑕）は今や産卵期のまっただなかにあるらしく、透明な腹部一ぱいにあたかも雀の稗草（ひえぐさ）の種子に似た卵を抱えて

濁った水の底を幻影のように赤くするその魚