惜し気もなく散る彼岸桜 を誘うて、颯 と吹き込む風
夏目漱石 / 吾輩は猫である ページ位置:40% 作品を確認(青空文庫)
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桜が散る
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前後の文章を含んだ引用
......うにない。吾輩は大戦の前に一と休養を要する。 主人の勝手には引窓がない。座敷なら欄間 と云うような所が幅一尺ほど切り抜かれて夏冬吹き通しに引窓の代理を勤めている。惜し気もなく散る彼岸桜 を誘うて、颯 と吹き込む風に驚ろいて眼を覚 ますと、朧月 さえいつの間 に差してか、竈 の影は斜めに揚板 の上にかかる。寝過ごしはせぬかと二三度耳を振って家内の容子 を窺 うと、しんとして昨夜のごとく......
単語の意味
惜しげ(おしげ)
彼岸桜(ひがんざくら)
惜しげ・・・惜しむ気持ち。
彼岸桜・・・春の彼岸のころに、他の桜よりも早く開花する。
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振って振りこむ花槍は 雪かあらぬか さっさ ちらちら白鳥毛
吉川英治 / 無宿人国記
貝殻のように白く光るのは、大方 さっきの桜の花がこぼれたのであろう。
芥川龍之介 / 運
横向に庇 を向いて開いた引窓から、また花吹雪 を一塊 りなげ込んで、烈しき風の吾を遶 る
夏目漱石 / 吾輩は猫である
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しのびやかに軽くくすぐるように、一日ずつ近づいてくる春
森田 たま / もめん随筆 amazon
春もやや準備が出来たといった工合 に、和やかなものが、晴れた空にも、建物を包む丘の茂みにも含みかけていた。
岡本かの子 / 母子叙情
春めいた 長閑 な日だった。前の石垣の間から、大きな 蜥蜴 が長い 冬 籠りの大儀そうな 身体 を半分出して、 凝然 と日光をあびている。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
それは恋によろしい若葉の六月のある夕方 だった。
有島武郎 / 或る女
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