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この男の悪を憎む心は、老婆の床に挿した松の木片きぎれのように、勢いよく燃え上り出していた
芥川龍之介 / 羅生門 ページ位置:57% 作品を確認(青空文庫)
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気持ちが高まる・こみ上げる
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前後の文章を含んだ引用
......下人に、さっき門の下でこの男が考えていた、饑死うえじにをするか盗人ぬすびとになるかと云う問題を、改めて持出したら、恐らく下人は、何の未練もなく、饑死を選んだ事であろう。それほど、この男の悪を憎む心は、老婆の床に挿した松の木片きぎれのように、勢いよく燃え上り出していたのである。  下人には、勿論、何故老婆が死人の髪の毛を抜くかわからなかった。従って、合理的には、それを善悪のいずれに片づけてよいか知らなかった。しかし下人にとっ......
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